ウラルカンゾウの種子がまた売れ始める
お久しぶりです。最近、WEBショップでカンゾウの種が売れています。
夏の間は全然売れませんでしたが、思えば春まきに備えて種の準備を始める時期ですね。
何種類か量を用意していますが、50gや100gがよく売れています。
露地でまとまった面積を作るには心もとない量ですが、苗生産や試験栽培規模なら最適な量かなとも思います
(本格的な面積で栽培するにはキロ単位で必要になります)。
野取りがメインになっているカンゾウの種は高度に品種改良されている穀物や野菜の種子とは違い、遺伝子が固定されていません。
商業作物の種子のような均質性がなく、ムラがあります。
ある意味、すべての種が新品種(未知の品種)同然とも言えます。
こういう種は均質さを保つ難しさがある反面、何が出るかわからない楽しさがあります。
100グラム・約1万粒の種はすべて別々の遺伝子を持っています。
発芽のタイミングはもちろん、種の大きさもバラバラです。
発芽後も、生育がいいものもあったり、悪いものもあったり、根が細くなるもの、太いもの、様々です。
中には有効成分量が濃いものもあるでしょう。有効成分が濃い株を選抜して濃度を高めていく研究も国内各地で進んでいます。
いつ、誰が高濃度の有望株を引き当てるかはわかりません。
例えばですが、g収量が半分でも成分濃度が10倍なら、成分収量は5倍です。
薬用植物は単に目方だけあっても仕方がない。奥が深いですね。
その点、優良な株を選抜して改良や遺伝子固定をしていく楽しみがあります。
「国産カンゾウ」の食品利用は無限大の可能性
ただ、成分が重要になるのは漢方薬として利用する場合です。
カンゾウは食品や化粧品など、漢方薬以外の用途も幅広いです。
なので、製薬需要でなければ成分にこだわりすぎる必要はないのでは、と思っています。
食品の目線で考えると、やはり濃度の高さよりも収量や味のほうが大事になりそうです。
逆に、あまりにも成分が高濃度だと食品に加工するのは難しいでしょう。
むしろ、成分が薄いほうが食品には使いやすい。
であれば、食品用にあえて低濃度の株を選抜したほうが成功するかもしれません。
誰もそんなことに労力を使わない。
まさか薬草から成分の少ないものを選抜しようなんて、正常な人間なら生きている間に一度たりとも考えないはず。
まさに「逆張り」です。
なお、成分が低濃度になった場合に香りや味がどうなるのかは不明です。
興味がある方は各自ご検証ください。
話がそれましたが、個人的には漢方薬よりも食品のほうがキャッチーで比べ物にならないほど市場も大きく、はるかに大きな可能性を秘めていると思います。
例えば地方創生(もっと具体的には地域おこし、地域特産)を行うなら漢方薬よりも食品利用のほうがはるかに選択肢が多く、融通も利くでしょう。
販売先や用途が固定されるのは不利です。食品なら多用途です。
カンゾウは根モノなので、土壌汚染を気にする方も少なくないと思います。
その点、たとえば国産カンゾウ茶として安心をPRできれば、魅力的です。
醤油にもカンゾウは入っています。「国産カンゾウを使った地域限定醤油」すごくないですか?
カンゾウは甘味料にもなります。
国産カンゾウを使ったガム、飴、せんべい、クッキー…あらゆるお菓子が作れそうです。
薬や成分にとらわれていると、こんな世界は開けません。
もちろん成分を突き詰めて高めていく方向は非常に重要で価値がありますが、万人にできることではありません。
その方向は製薬分野の研究者や専門家に任せて、生産者は食品の可能性を模索するほうが農業としては夢があると思います。
ウラルカンゾウの試験栽培@千葉県北西部 播種から5か月後の様子
私自身もちょっとだけウラルカンゾウの試験栽培をしています。
と言っても、協力農家さんのハウスの端の空きスペースに、芽出しした種をバラまいただけという雑で簡素なものですが。
ご紹介するのは4月1日に芽出し種子をまいて、その5か月後、9月2日のウラルカンゾウの様子です。
完全に暑さでやられてます。なんせハウス内ですからね。別にハウスは要らないです。むしろ暑くてマイナスのようです。
しかも、まき過ぎで異常な密植になっています。
「直播なので、どうせちゃんと芽が出ずに途中で枯れるだろう」と思って多めにまきましたが、完全に誤算でした。
結局、殆ど育ってる気がします。まあ、芽出し処理をしてたんだから当然かもしれません。
来年はちゃんとセル育苗しようと思っています。
セル育苗ならある程度苗を育てられます。
そこでようやく人工光育苗装置の出番です。屋内の人工光栽培は、苗を作るためには最高の方法です。
食品として国産カンゾウの利用が進めば、カンゾウ苗の需要も高まるでしょう。
その時、人工光育苗技術が活躍するはずです。
また話がそれました。
先ほどの密植株を試しに一本引っこ抜いてみました。
根がめちゃくちゃ深く伸びてました。ちぎれないように掘るのが大変でした。
すごく長いんですが、これだとちょっとわかりにくいですね…。
ということで?一部を抜いて家に持ちかえりました。
沢山あるようですが、ハウスにはまだこの10倍以上残ってます。
この日から2か月半経過した今、残った株はどうなってるんだろう…。
ちなみに1年苗のポット苗は1鉢800円くらいするので、そう考えるとこの量でもけっこうな価値です。
やはり、販路さえあれば苗を売るのが一番儲かります。
農業は種よりも、最終成果物よりも苗が一番儲かります。販路さえあれば。
さて、またしても話がそれましたが、ようやくわかりやすい写真が出てきました。30cm定規との比較です。
長いものだと50cmくらいありますね。
以下はアップ。地上部は密植で徒長してたので根も細いだろうと思っていましたが、意外と太くなってます。
あんなにわけのわからない密植をしたのに、5か月でこんなに大きくなっていました。
思ったよりも生育が早かったです。撮影したのは9月の初めなので、いまはもっと大きくなっているでしょう。
野生だと収穫に5年かかるようですが、畑で栽培すればそんなにかからないのかも?
ちなみに、根の上側の付け根には新芽が出ていました。
寒くなると地上部は枯れて根が残ります。根の付けになる新芽が次の春に伸びてきて、2年目の茎葉を広げていきます。
別にこれらはもう要らないので、乾かした後に噛んで味見をしました。
まあ、普通にカンゾウの味でした。これはお菓子に使えそうです。
シナモンとは違いますが、方向性はそっちかも?
いい風味があり、甘みもあります。
ウラルカンゾウの種子を安く入手する方法
手前味噌で恐縮ですが、おそらく、国内のカンゾウ種子を調達するにあたっては、
いまのところ私のショップが圧倒的に安く手に入ると思います。
私が始める前は1粒数十円する種しかなかったので、試験栽培するにも厳しい価格でした。
とにかく種が手に入らない。探すのが大変。
なんとか手に入っても高すぎる。検疫まわりがどうなってるのかも不明。
これではとても手が出せません。
そんな中、検疫や税関を適法にクリアしたまとまった量の種を廉価に供給することで
カンゾウ栽培のハードルを劇的に下げられたと自負しています。
カンゾウは挑戦的な作物ですが、可能性を秘めた面白い作物でもあります。
是非ご検討ください。
