植物工場の費用の削り方を解説します。今回は物件の確保についてのお話です。
【できるだけ建築物を新造しないこと】
植物工場用に土地を買ったり建物を新造したりしてはいけません。
まともな家屋を新築すると、一気に回収が困難になってしまいます。
土地も建物も、できる限りすでにあるものを使うことを心掛けましょう。
借り手がつかずに持て余している手持ち物件を使うのが最善です。
しかしそんなに都合のいい物件が余っているケースは少ないと思います。
その場合でも家屋を新築するのではなく、格安の中古の物件を探しましょう。
床は防水で傾いておらず、壁に断熱加工などができることが必要です。
建物の場所は販路に近いほど好ましいです。
適した物件がなくどうしても新築する場合は普通の建物ではなく
「システム建築」を断熱して使いましょう。
それでも、建物を買うと大きな出費になってしまい、後々の経営を圧迫します。
【借りる場合】
借りる場合、1㎡あたり賃料は月500円以下を目安に探してください。
500㎡なら月25万円程度、年300万円が目安です。
この場合、20年間使っても6,000万円で済みます。
ただし、同じ物件を購入したものと仮定すると、坪あたり39万円となるため割高です。
しかし借りた場合は撤退しやすいという大きなメリットがあります。
また、スモールスタートの観点から、最初は30~50㎡程度のスペースで
始められれば十分です。
それくらいの広さの余剰スペースを持っている企業は少なくないのではないでしょうか。
【買う場合】
買う場合の目安は床面積で「坪あたり30万円以下」が目安になります。
それでも負担は重く、苦しいです。できれば坪20万円の格安物件を探します。
・小規模スタートの場合
小規模スタートの場合で建物を新規に調達する場合は
余っている土地があることが前提ですが、
中古の40フィート冷蔵コンテナを使います。
1本100万円程度で入手できます。
温度管理は家庭用エアコンを設置して行うのでコンテナ用の冷蔵機はいりません。
「箱」だけあれば大丈夫です。
面積は正味約26㎡(7.9坪)で、坪あたりわずか12.7万円ときわめて割安な上に
最初から防水・断熱施工が済んでいてお得です。
ただし、設置面積や水・電気接続を行う関係で建物扱いになる可能性が高いです。
所属自治体の都市開発課などに建築法や都市開発地域区分などについて
必ず事前に相談してください。
自治体ごとに判断が異なるため要注意です。
担当者と親しくなり、緊密に連絡を取ればトラブルを回避しやすくなります。
・大規模の場合
コンテナの代わりに坪14~17万円程度のシステム建築を断熱して使います。
土地は宅地ではなく雑種地や原野などの廉価な土地をおすすめします。
また、土地関係はきちんとしておかないと税金で困ることになり得ます。
自治体と顧問税理士に事前相談し、建築制限や地目、固定資産税にも配慮してください。
【物件の探し方① 不動産情報サイト】
homesなどの不動産情報サイトを活用します。
http://www.homes.co.jp/chintai/
地域を選び、月額賃料を設定したうえで、広さ順で検索します。
地図検索は普通の検索では便利ですが、とにかく広くて安い物件を探す時は地域別で範囲を広げて検索するほうが早いです。
倉庫だけでなく店舗も候補になります。地方の潰れたスーパーやパチンコ店が安く借りられたりします。
【物件の探し方② 廃校活用】
少子化の影響により地方ではどんどん小中学校がつぶれています。
文科省が廃校の有効活用方法を募集しています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/__icsFiles/afieldfile/2017/04/19/1296809_1.pdf
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/1296809.htm
恐ろしく廉価な条件で借りることができるものも少なくありません。
植物工場で使っても割に合う条件がいくつもあります。
1,000平米も使えれば十分な面積になります。但し、学校施設の一部を借りられるところは少なく、一括での有効利用を求められるケースが多いです。すでに本業のある企業であれば、植物工場に加えて本業も絡めつつ学校一括の有効利用を提示すれば採用されるかもしれません。学校側に活用案をPRする際にも、小規模での植物工場の実績があれば大いに役立てられると思います。いきなり大規模でやるというよりよほど信用と説得力があります。
但し、いくら安くても消費地からの距離が離れすぎていると輸送費が重くなってしまいます。植物工場は販売が最も重要になりますので、販売周りもよく考慮してください。逆に販売面がカバーできれば生産はどうにでもなります。別に、必ずしも植物工場で作らなくてもいいですし、自社で作らず委託する方法もあります。農業生産販売ビジネスのボトルネックは生産ではなく販路にあります。販売のことはいつも頭に置いておいて下さい。
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初めまして、突然すみません。植物工場に興味がある大学生です。毎回記事を楽しませていただいてます。こちらのブログでは「低コストLED植物工場」がテーマとなっていますが、太陽光利用型と人工光型ではやはり収量には大きな差がでてくるのでしょうか?
また、魚を養殖しその水を使って植物を育てるアクアポニックスというシステムを最近知り、植物工場とも繋がるのではと思っています。もしアクアポニックスについてご意見がありましたら聞かせていただければ幸いです。お忙しい中申し訳ありませんがよろしくお願いします。
はじめまして。お返事が遅れてすみません。
ご質問にお答えします。
今回気まぐれで回答させていただきますので、次回以降の回答にはあまり期待しないでいただけると幸いです。
・人工光と太陽光の収量の差について
これは何を基準にするかに依ると思います。
たとえば「面積あたり」で考えると、人工光植物工場ではその気になれば10段でも20段でも垂直方向に拡張して栽培できますから
面積あたり収量の大きさは太陽光の比ではありません。
また、栽培する作物の要求光量と栽培期間によっても収量は大きく異なります。
葉物野菜のように短期間かつ少ない光量で栽培できる作物であれば、太陽光に比べて収量は劣らず、そのうえ1年間に何度も生産できます。
しかし、果菜や根菜のように要求光量が多く、かつ栽培期間が長い作物では収量の差は縮まります。
他にも「電気代あたり」の生産量、「人件費あたり」の生産量など、どの要素を軸に比較するかによってどちらの収量が大きいかは変わってくると思います。
一概には言えませんが、人工光に向いている作物であれば、人工光の収量のほうが有利になることは多いでしょうね。
但し、よほど有利な条件(作物・生産技術・販路・電気代・卸値等)がそろわない限り、人工光の経済性が上回ることはないと思います。
逆に、そのような条件を見つけ出すことができれば、すさまじいチャンスを手にすることになるでしょう。
この世界にはおそらく、まだ誰も知らない人工光植物工場の成功条件が何万通りも眠っているはずです。
それと同時に何千兆、何千京もの失敗パターンもうごめいています。植物工場は一筋縄ではいきません。
・アクアポニクスについて
アクアポニクスの知見は深くないのであまり言える意見はありませんが、コストだけを考えると厳しいのではないかと思います。
養殖は養殖、栽培は栽培に分けて特化したほうが効率がいいことはほぼ疑いないためです。
ただ、アクアポニクス由来の生産物一定以上の付加価値を乗せることができれば
(より即物的な言い方をすると、アクアポニクスによって生産された商品がより高く売れるのであれば)
その限りではないと思います。
さらに、商業生産用途ではなく、趣味やレジャーの領域になると話は全く別になります。
実際、どう考えても採算が取れないようなアクアポニクスのシステムが高額に取引されていたりもします。
これはアクアポニクスに限ったことではありませんが、重要なのは何を求めている人に何を提供するか。
その矛先が変わるだけで、財やサービスの価値は変幻自在に流動するものだと思います。