今回は家庭用の水耕栽培装置を安く作る方法を教えます。
太陽光で育てる前提なのでLEDは使いませんが、
クリップライトにLED電球をつけて光を当ててやればミニ植物工場として楽しむこともできます。
湛液型・非循環
水耕栽培にはいろんな方法があります。
今回の装置は湛液型(たんえきがた、DFT:deep flow technique)になります。
業務用の湛液型は液肥をポンプで循環していますが、そこを作ると手間とコストがかかるので循環はせずエアポンプで送気します。
とはいえ循環させるのも、そこまで難しくないので、いずれご紹介しようと思います。
今回はとにかく簡単に作ることを重視しています。
用意するもの
・蓋つきの発泡スチロール箱 0円または108円
家庭で余っているもので結構です。なければダイソーで売っている青いスチロールボックスを使いましょう。
今回は捨てる予定だったごみ同然のスチロールボックスを使います。
・大きめのビニール袋 10円くらい
ゴミ袋を使うのが楽です。ゴミ袋だから汚いなんてことはありません。
むしろプラスチック製品なので新品なら清潔です。袋は必須ではありませんが、使ったほうが後々楽です。
栽培期間が長引いて液肥が汚れてきたら袋を取り換えて水を入れ替えれば、箱の内側が汚れません。
万が一箱に穴が開いた場合でも水漏れ防止になります。
(柏市指定の燃えないゴミの袋)
・ハサミ 0円
蓋の穴あけに使います。ハサミがない場合(??)はボールペンでも代用できます。
気合いを入れて男らしく指で穴を開けてもいいでしょう。
(突き指しても責任は負いません)
・エアポンプ 688円
別になくてもいいんですが、あったほうが栽培が失敗しにくいです。
エアレーションすると高温に強くなり成長もだいぶ早くなります。
また、これは経験者にしかわからないことですが、泡が割れる際に箱の中で水しぶきが飛んで根を濡らすため、
植物が小さくて根が短い段階での水枯れが起こりにくくなります。
エアレーションしない場合は常に根が水についているか確認する必要があります。
また、一般にはあまり知られていませんが、植物が育つためには根の酸素供給量は光の強さと同じくらい大事です。
いくら光があっても根に酸素がいかないと枯れます。
エアポンプを使って送気すること(エアレーション)で根に酸素を常に与えます。
温度が上がれば上がるほど、水中に溶けている酸素が減るためです。
このため夏場のハウス栽培では液肥を冷却します。
エアポンプで強制的に空気を送ると、冷却なしでも高温に耐えやすくなります。
レタスは水温が30度を超えると水耕するのはかなり厳しいですが、
エアレーションすることで36度以上に耐えたこともあります。
業務用だとエアレーションはコストが合いませんが、家庭用だとむしろ循環や冷却するより安上がりです。
今回の装置の写真に写ってるポンプはこちら
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ですが、もともと水槽用に設計されている商品で、ひっかける場所が必要なので扱いづらいです。
なので、こちら
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をおすすめします。これなら置いて使えます。また、エアチューブもついてます。
・エアチューブ ポンプとセットのものを買えば0円
空気を送るチューブです。なんでもOKです。
上で紹介したエアチューブセットのポンプがいいと思います。
・エアストーン 118円
空気の出口で空気を分散させるために使います。
なんでもOKですが、長いもののほうが好ましいです。
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写真にある細長いものはこちら。
見栄えがいいので黒いチューブを使っています。透明でも白でも何でもOKです。
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また、丸いのと細長いのはエアストーンです。
細長くて曲げられる高級品もあります。予算に余裕があればこれが最適ですが、お金をかけているとキリがありません。
安いストーンで十分です。
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・肥料 597円
液肥は良く育ちますが量が多くて高いので、微粉ハイポネックスを使います。
ちなみに、液体ハイポネックスは1液式であり、完全肥料ではないので水耕栽培には使えません。
水耕栽培では完全肥料を使わないと発育不良になります。注意してください。
水耕に使えるハイポネックスは粉末タイプのものです。
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楽天の最安値は120gで400円でしたが、複数のショップで買うとそれだけ送料がかかってしまって高くつくので、できるだけ同じ店でまとめて買ったほうが得です。
なので、今回のリンクは同じ店で揃えました。
ちなみにこのショップ、チャームさんはとても大きな熱帯魚ショップで、何十億円もの年商がある業界の雄です。熱帯業関連用品がとても安く、しかも早く届きます。アクアリウム関係用品は水耕栽培に使えるものがとても多く、いつもお世話になっています。なぜか肥料のハイポネックスまで売っていますが、水草関連として取り扱っているのかもしれません。
・スポンジ 0円または33円(100円で3個入り)
培地には豆腐型の台所スポンジを切って使います。家庭用なので水耕用スポンジがどうとか気にする必要はありません。
水耕用だろうが台所用だろうが、全く同じ物質のポリウレタンが原料で、本質は同じです。
切れ込みのある水耕用スポンジのほうが早く根が伸びやすいでが、気にしなくて大丈夫です。
写真は使いかけのものです。プラスチック類は窓辺においていると写真のように日焼けして黄ばんできます。
できれば直射日光に当たらない場所に置きましょう。
・植物
種から育てる方法と挿し木する方法のどちらでも大丈夫です。
挿し木のほうがより簡単です。挿し木についてはこちらの記事がとても丁寧です。
ただし、水耕なので発根剤は使わないでください。液肥の中に残留してしまいます。
挿し木が成功するのは数本に1本なのでたくさん仕掛けて気長に待ちます。
・受け皿 0円
種から育てる場合に使います。野菜とか肉が入ってたトレーをきれいに洗えば使えます。
鉢受皿でも食器の皿でもとにかく水が数センチ貯められればOKです。挿し木栽培をする場合は不要です。
必要なものは以上です。装置の材料が800円、肥料が600円、送料が600円くらいで併せて2000円。
ハイポネックスやエアポンプはホームセンターでも揃えられるので、その場合は肥料を入れても1500円くらいで収まります。
袋もエアポンプも使わない最小構成なら必要なのはスチロールとスポンジだけなので、
ダイソーのスチロールボックス108円+スポンジ108円=216円で水耕栽培装置ができます。もし両方とも家にあったらタダ、0円です。
「箱に穴開けてスポンジで固定してるだけやん!」と突っ込みたくなるかもしれません。
よくぞ気づいてくださいました。その通りです。そしてそれこそが本質です。
そもそも植物は①適切な温度②光③水④空気⑤栄養がそろえば育ちます。
この記事で読者の方にそれが伝えられれば本望です。この5つの要素をうまく調整することで、収量を上げたり品質を上げたりできます。
土の役割は微量金属栄養素の補給、植物の支持固定、空気の供給、保温です。
これらがうまくカバーできれば土はいらなくなります。それが水耕栽培です。
①は室内ならだいたい大丈夫②はタダ(太陽)③は水道水でOK④はタダ⑤は肥料
どこが必須要件で、どこがオプションなのかがわかっていれば、ここまで装置を安く単純にできます。
もはや装置より肥料のほうが高いですね。
とはいえ、今回紹介した肥料は200gあるので200リットル分もの液肥が作れます。
何を育てるかにもよりますが、毎月8リットル液肥を使うとしても2年分くらいの肥料になります。
これで資材の紹介は終わりです。
水耕栽培装置の作り方
それでは、谷本式(?)の超低コスト水耕栽培装置の作り方に入ります。とても簡単に作れます。
①蓋に穴をあける
ハサミを閉じたまま突き刺し、回転させることでスチロールボックスの箱に穴をあけます。
植える植物の大きさを考慮して好きな間隔で開けてください。
但し余り近づけすぎないように。
空け終わりました。雑ですね。スチロールにきれいに穴を開けるのは大変なので適当で大丈夫です。
ただ、乱暴にやって蓋を割ったりしないように気を付けてください。
エアチューブ用の穴もあけてください(この時はまだあけ忘れてて、後であけました)。
②箱にビニール袋をかぶせる
このビニール袋の中に液肥を貯めます。
③ーA スポンジをカット(挿し木の場合)
穴よりも大きめにカットします。穴のほうが大きいと箱の中へずり落ちてしまいます。
スポンジを大きめにして圧力で支える感じです。
穴を大きくしすぎた場合はスポンジを追加して埋め込めばOKです。
④-A 切れ込みに挿し木枝を挟み込む
⑤-A 植物を穴に植える
裏から見た図
③-B 種から育てる場合
種から育てる場合はある程度根を伸ばさないといけません。このためいきなり装置では育てられません。
なので、まずはスポンジの上に種まきをします。
種をまく際はこのようにスポンジの色が変わるくらい水をよくしみこませます。途中でスポンジが乾くと植物が死にます。
かなり多くの初心者が、発芽に失敗して水耕栽培を始められません。
スポンジを濡れたままにしておくことは栽培キットの説明書で1ページ使ってしつこく書いたほうがいいくらい重要です。
スポンジを濡れっぱなしにするコツは水位を高めにすること。
スポンジのてっぺんより1cmしたくらいまで水を入れる。入れすぎてもダメです。
スポンジの代わりにロックウールを使えば水枯れの心配はありませんが、高いし、乾いてるとちくちく刺さって痛いです。
ちなみにロックウールは直訳すると岩綿になりますが、石綿(アスベスト)とは何の関係もない別の物質です。
そもそも関係があったら水耕栽培では使えないし市販もされません。
発芽がうまく行かない人はロックウールを使ってみてもいいと思います。とても簡単になります。
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種をまいた例がこちら。ちなみにこれは葉ネギです。ちょっと播き過ぎかも。
レタスなんかだとスポンジ1個に1本しか生やせないので間引く必要があります。
これで日の当たるところに何日かおいてスポンジの下から根っこが出てくるのを待ちます。
ちなみにネギは発芽しにくいのでちょっと難しめです。レタスはネギよりも発芽しやすいけど簡単な部類ではありません。
一番発芽しやすいのはアブラナ科。特に小松菜や水菜は発芽させやすいので初心者にお勧めです。
もしもスーパーで買った葉ネギに根が生えていれば、食べた後に長さが10cm以下になったものを植えて再生栽培することもできます。
さて、種から芽が出て根が伸びて、植えられるようになったものとして話をすすめます。
⑥エアチューブとエアストーンをセット
こんな感じになります。このエアポンプはひっかける場所が必要ですが、
スチロールボックスに無理やりひっかけてみました。無理があります。
わざわざ壁にフックをつけてひっかけてます。そこまでして使わず新しいのを買えという説もあります。
⑦液肥を作って袋の中へ入れる
液肥は時期に応じて濃度を変える方法もありますが、とても面倒ですし、装置よりだいぶ高額なECメーターが必要になります。
もっとちゃんとやるならpH調整も必要になります。
家庭向け水耕は簡単だからいいのであって、そこまでやるときっと面倒になって嫌になります。
そんなことになるくらいなら液肥濃度を変えたりせず、
pHも気にせずにハイポネックス1000倍希釈のみで通したほうがいいと思います。
1000倍希釈とは、ハイポネックス1gに対して水1リットル。水3リットルならハイポネックス3g。
粉のハイポネックスはちょっと溶けにくいですが、エアレーションでかき混ぜられてるうちにいずれ溶けます。
注意事項:先端が水につかるように
種から育てた場合は根っこの先っぽが水につかるように、挿し木の場合は茎の先っぽが水につかるようにしてください。
根っこが十分に伸びれば水位が下がっても大丈夫です。先端が水につかっているかどうかが重要です。
ある程度根が増えた後は、むしろ根の一部は空気に触れていたほうが生育がよくなります。
⑧その後の管理
装置を室内の日当たりのいい場所において、液肥が減ってきたら追加してください。
植物の大きさにもよりますが、水足しの頻度は夏は7日に1回くらい、冬はせいぜい10日に1回くらいです。
以上、家庭用栽培装置の作り方と使い方でした。
実際にこの装置を使って植物を育てている様子はこちら
(補足)
とにかく基本を押さえていればいくらでもアレンジできます。
同じ方向性でこんなタイプもできます。こちらはエアレーションなしです。
根がたくさん生えていて、そのうち半分を空気中に出しているなど、工夫してます。
植物は十月桜という桜で、10月から3月まで半年間咲き続ける品種です。
室内で秋の花見をしようと思って水耕化してみましたが、一向に咲く気配がありません…。
さすがに北側の出窓では光が足りないのかもしれません。
そのうえ何が気に入らないのか横へ横へと伸びて、とんでもない樹形になってしまいました。
かかったのは箱代だけ。箱はダイソーで買った108円か216円のプラスチックボックスです。
見た目を優先してプラスチックに入れましたが、直射日光に当たると液肥の温度が上がるので、
本当は温度が上がりにくい発泡スチロール製のほうが好ましいです。
ただ、業務用ではなく趣味なので基本さえわかれば試行錯誤しながら好きなようにやっていいと思います。

