本記事では植物工場の構築に必要な資材を公開します。
これまでの植物工場では特にLED光源はコストが大きくなっていましたが、本記事で紹介する光源を使えば大幅に抑えられます。
まずは植物工場での野菜生産に必須である育苗ユニットに必要な資材をご案内します。
本記事の情報を活用することで、育苗システムを原価で導入することができるようになります。
●育苗ユニットの自作に必要な資材
1.LED蛍光灯
2.ソケット
3.栽培ラック
4.液肥タンク
5.タイマー
6.水陸ポンプ
7.スイッチコンセント
8.水受け防水シート
9.ダックテープ
10.吸気ファン
11.吸気経路構築用板 奥
12.吸気経路構築用板 横
13.スタイロフォーム
14.エアコン(設置する部屋にない場合)
15.二酸化炭素施肥システム(オプション・葉菜の育苗には原則不要)
本記事では上記の資材のうち1と2を紹介します。
●いったいどれくらい安くなるのか?
既製品の育苗システムを導入する場合、水稲育苗箱1枚あたり(=ウレタンシート1枚300ブロックあたり)の設備費はおおむね10万円~12万円程度です。
一方、育苗システムを自作すれば資材のコストは最安構成で育苗箱1枚あたりわずか1万円未満。なんと、9割引きになります。ただし、育苗システムの設置場所として家庭用エアコン設置済の部屋が必要になります。家庭用エアコンがない場合は新設してください。とはいえ、工事費込みで6万円未満ですが。
5段式ユニット育苗ラック1基のサイズは幅150cm×奥75cm×高さ210cmです。ユニット1基の設置に必要面積は通路込みで2畳もあれば設置可能です。ユニット1基は棚板6枚・栽培棚5段として、水稲育苗箱サイズ換算で計20枚育苗できます。エアコン1基あたりユニットを3基設置できます。育苗箱60枚につきエアコン代は6万円となります。おすすめのエアコンについては後日別の記事で解説します。
今回はまず、おそらく皆さんが最も関心が高いであろう資材である光源(LED)からご紹介します。
●LED蛍光灯
5段式育苗ユニット1基につきこちらのLEDを50本使います。
超低コスト植物工場において「植物専用灯」や単色光源(青色や赤色)は不要です。普通の蛍光灯や白色LEDで十分に育ちます。1本数千円もするLEDを使ってもそこまで生育上に大きな貢献は期待できません。高額なLEDを使うことによる最も顕著な差は、投資回収が大幅に遅くなることです。上記のLEDは10本セットで7,500円です。しかも税込みかつ送料込。1本あたりたった750円。下手なLED電球よりも安いです。しかし、これで実践で利用可能です。私は上記のお店のLED蛍光灯を5年以上前から植物栽培に使っていますが、ちゃんと育っています。繰り返しますが、植物工場には、既製品の廉価な白色LED蛍光灯が使用可能です。信じられないかもしれませんが、実際に試してみればすぐにわかります。本サイトのTOP画像で使っているのも、こちらのショップで調達したLED蛍光灯です。植物工場に使えるLEDが、普通にネットで買えるのです。この事実を知っただけでも本サイトに訪れた価値があったのではないでしょうか。この値段であればわざわざ中国のLEDメーカーから直輸入したり、卸売業者を通す必要もないかと思います。
また、必ずしも上記のLEDでなくとも、他の白色LED蛍光灯でも良いでしょう。
その場合は
・保証があること
・PL保険に入っていること
・lm(ルーメン)の表記がされていること
・十分に安いこと(超低コスト植物工場では送料込&税込で1本1,000円以上の光源を使うべきではありません)
という条件を全て満たしたものを選んでください。経験上、怪しい製品には保証がなかったり、PL保険に入っていなかったり、lmの値が不明だったりします。
また、「このLEDは使えますか」と質問されましても当方では判断しかねます。なぜなら、筆者がそのメーカーさんのLEDを試してはいないからです。従って、「ご自身で時間とコストとリスクを投じてお試しください。」という回答になります。本記事で紹介しているLED蛍光灯は前述の4条件が全て満たされており、かつ筆者が使ってきたお店なのでおすすめします。また、過去に初期不良があった際にも交換に応じてくれたことからもおすすめできます。
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また、「育苗」が終わった苗を水耕パネルへ「定植」して成株まで栽培する際には乳白カバーではなくクリアカバーのLED蛍光灯を使いますが、育苗段階ではクリアカバーではなく乳白カバーの使用を推奨します。乳白カバーではクリアカバーに比べて光量は約10%低下します。しかし、乳白カバーを通すことで光が良く分散され、均質な光が得られるため、育苗に適した指向性の光が得られます。これにより、クリアカバーの蛍光灯を使用するよりも生育ムラを低減させられます。
●一番安いのは中国メーカーからの直輸入
ちなみに、LED蛍光灯をaribabaで探すとこんな感じなので、まとめて輸入すれば1本500円を切る値段で入手できるでしょう。しかし、植物工場での使用に耐えうる品質の製品に当たるまでいろんなメーカーを試して栽培試験をして…という時間や労力を考えると、なかなか割に合わないかなと思います。仮に1本あたり300円安くなったら、1万本使う場合で300万円の初期費用削減。これくらいなら割に合うかもしれません。製品保証やPL保険がなくなることを考えると、1,000本程度の使用で輸入をするのはちょっと割に合わないように思います。とはいえ、頑張ってアリババ輸入を使えばまだコストを下げられる余地はあるので、ご参考までに。
但し、どんなLED蛍光灯を使うにしても、大規模導入する前に最低1年間は小規模で試験栽培をしてください。
●LED50本使用のユニットで1年間に作れるウレタン苗の量
冒頭で述べたとおり、5段式育苗ユニット1基につき水稲育苗箱20枚相当(300ブロックウレタンシート20枚=6,000株)の苗が同時に栽培できます。ウレタンシートを使用して育苗期間が3週間の葉菜苗を作る場合、最大で年に17回転できるので年間102,000株(日産280株)相当の苗が生産できます。但し、実際は歩留まりがあるので実質生産量は1割引きして考えてください。種の時点で発芽しなかったり先天的に問題のある株が必ず存在するので、そういうものは定植の際に選抜します。人工物ではなく生き物を相手にしているということを常に忘れないようにしましょう。また、植え替えのタイミングの都合もあるので、実際には理論通り17回転することは難しいです。このため、育苗設備の容量には余裕を持たせる必要があります。自作して価格を大幅に下げることで、育苗設備の容量にもゆとりを持たせやすくなります。
●電源供給
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G13用ソケットプラグコード コンセント直結ACプラグコード TK-LTSC02 両側給電方式LED蛍光灯用 はめ込み式 仮設照明用
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最も簡便に電源供給を行うにはソケットコードを使うのが楽です。
但し、このコードを全てのLED蛍光灯に使うと割高になりますし、大量のACコンセント穴が必要になってしまいます。
電気配線に明るい方を連れてきて、ワゴ(下記参照)
とG13ソケットと被覆電線とACコンセントを組み合わせて、10本または20本または30本ごとにコンセント1つにまとめるのが好ましいでしょう。LED蛍光灯30本でも540Wですからかなり余裕をもった容量基準内です。こうすることで、LED1本あたりのソケットのコストは上記のソケットコードを使う場合に比べて約1/3、@200円程度になります。
●光強度の設計
簡易的には照度(ルクス)を計測すればよいのですが、ルクスは人間の目に最適化された明るさです。一方で、植物栽培においては、厳密には植物の葉(葉緑体)に最適化された明るさ、すなわち光合成光量子束密度PPFD(単位:μmol/㎡(まいくろもるぱーへいべい)またはアインシュタイン)という指標を使います。PPFDは植物が光合成に使用可能である400nmから700nmの光のみ評価しています。
有効光量子束密度の測定には光量子計(PPFDメーター)を使います。
上記の通り、PPFDメーターはかなり高価です。しかし、ひと昔まえは20万円近くしたのでこれでも相当安くなりました。
きちんと光強度を設計する場合にはPPFDメーターを持っていたほうが好ましいです。
一方、簡易に測定するだけであれば照度計(ルクスメーター)でも代用は可能です。
ルクスメーターは何でもいいですが、おすすめはプローブがセパレート式のものです。
一体型のものはディスプレイの真上にプローブがあるので非常に使いにくいです。
腕を突っ込んでいろんなところの明るさを計測することになります。
また、ノーブランド品よりも、できるだけ日本企業が販売元になっている製品を選びましょう。同じ中国製でも品質管理が違います。
いずれにしてもプローブは消耗品となります。せいぜい2年程度で買い替えましょう。
●リーフレタス苗の光強度設計
リーフレタスの育苗に必要な光強度は播種面で100~200アインシュタインです。
また、ルクスであれば12,000ルクス~20,000ルクスです。
光量に幅があるのは、光源の直下では光が強くなり、端では光が弱くなるためです。
面全体の光量を均質にするにはかなりのコストがかかってしまいます。
120cm×60cm(育苗箱4枚分:300ブロックウレタンシート4枚分)につき、上記で紹介したLEDを10本、栽培面-LED蛍光灯下端距離を12cmにて使用することでリーフレタスの育苗に必要な光強度を確保できます。これはあくまで一例です。生産管理やコストとの兼ね合いで光の強弱を調整してください。
●光強度設計の妙味
ある地点での光の強さは光源からの距離の二乗に反比例します。
つまり、光源と植物の距離を2倍にすれば光強度は1/4になります。逆に、距離を半分にすれば光強度は4倍になります。
近ければ近いほど加速度的に光が強くなりますが、近ければ近いほど、植物の背丈と栽培範囲(有効面積)も制限されてしまいます。
つまり、背が低いほど、狭い面積で大量に栽培できるほど、要求光量が低ければ低いほど、人工光植物工場では有利です。
背が低くて、狭い面積で大量に栽培できて、要求光量が低い作物を見つければ高収益の可能性があると言えます。例えば、
の記事で解説した芽ネギであれば狭い面積で大量に作れますし、背丈も10cm程度です。発芽ニンニクはそれなりに背が高いものの、ほとんど光強度を必要としないので距離を離せます。また、いずれも栽培期間が短いです。
逆に、実もの作物(果菜類)は高い光強度を要求し、たいていの場合で背がかなり高くなります。その上栽培期間も数か月と非常に長いため、人工光植物工場には全く適していません。
栽培期間は年間収穫回数を左右しますが要求光強度・面積あたり売上・背丈は初期投資と電気代を左右します。植物工場を運営するのであれば、これらの条件すべてに都合の良い作物を模索していく必要があります。
●定植後(便宜上本圃と呼びます)の栽培に必要なLED蛍光灯
育苗と同じLED蛍光灯を使いますが、植物との距離や本数が変わります。
それについては後日あらためて別記事で解説します。

